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ほんとうにつたえたいこと
私が、ほんとうに伝えたかったこととは、ただ



尻を左右にふりふりして歩く柴犬の後ろ姿を前方に見ていて
そのコウモン部が、あんまり無防備に、あけぴろげに
私の視界下方をゆれていた事についてだった。


「黒いな」と思った。

「ずいぶん黒い」と。


健康的な黒びかりは
コウモンらしい、そのしわしわと相まって
さながら、鉄分の王様「プルーン」のように見えた。
(種ぬきの)


でも、勘違いして、あわててアレに食いついたりしてはいけない。
犬は驚いて噛み付くし
きっとプルーンの味はしない。
鉄分の補給もできないと思う。



あれはプルーンとはちがうので気をつけて欲しい。





それにしても、柴犬に代表される、紀州犬や甲斐犬などの日本犬種は
皆一律に長くふさふさのしっぽを持っているにもかかわらず
それらはぴょんと上部に跳ね上がり、くるりと巻いていたりして
だいじな部位をかくす役割をはたさずにいる。

肛門と言えば、人間でいうなら「秘部」といってよい箇所であり
肉体の中心線上にあることを思えば「急所」のひとつとも言える。

そんなだいじなだいじな、かよわい、秘匿すべき急所が
あのように無防備に外部にむけてひらかれているのでは
何か、根元的な内なる不安を根深く抱えることになりはしまいか。


日本犬が俗に他の犬種よりも「忠誠心が強い」とされるのは
このようにあけすけな肛門部にその由来があるように思われる。

急所を外敵に晒しているという潜在的な不安感が
「ご主人様私を守って、その代わり忠誠つくします」
という、御恩奉公の関係形成に結びついているに相違ない。



かの有名な秋田犬「忠犬はち公」の逸話も
あのくるりと巻き上げられた尻尾のおかげで
あけすけにされてしまったかよわい肛門部のあったればこそ
誕生した忠誠物語であると言えよう。



不安と、主従の忠誠を内包し
今日も右へ左へふりふり揺れる黒いプルーン。




だから、あれはプルーンとはちがう。

ちがうってば。




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私が、ほんとうに伝えたかったこととは、ただ
それだけのこと。


何となく思いついたことを書きなぐる。


そういった事のためだけに
青春を、日々を、人生を浪費し、そして老いてゆく私。





冷蔵庫の中に、一昨日買ったプルーンがある。
(種抜きの)


柴犬のソレに見えて
どうも食べる気がおきなくて困る。
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