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凡百凡庸の人生
実家の母に
「父の書棚から、サルトルとニーチェ、ボードレールの詩集、
それに谷崎の全集から『細雪』のある巻を抜いて
宅急便で送って欲しいのですが、、、」
という内容のメールを送った。

「オッケー、わかりましたー(^0^)V 」
という返事があり、数日して宅急便が届いた。

厳重に二枚重ねになった紙袋をやぶると
中から、可愛らしい花柄のラッピング紙につつまれた
和柄革製のバッグが出てきた。

そしてバッグの中には、落語のビデオと、リルケの詩集が一冊
それからプッチ柄のバッグ型と、お花のついたミュール型の
ファンシーメモ用紙ふたつ、が入っていた。


私が依頼した品に、見事にひとつもかすっていないのであった。


まぁよい、きっと母は私が
サルトルとニーチェ、ボードレールを読む気なんてなくて
単に書棚に飾っておきたいだけだったのを見抜いたのだろう。

谷崎は、ほんとに読もうと思っていたんだけど、、、

どういう思考回路を通せば、
サルトルがプッチ柄バッグのファンシーメモ用紙になるのか
てんで分からないが

気にするな母よ、
私はお前を愛す。

我が子からの無償の愛を、受け取るがよい。





母のこういったとんちんかんな所を、可愛らしいと思う。
この母の血を濃く受けついだ私も、多分にとんちんかんである。

とんちんかん、それもまたよし、と、ほのぼの生きさへすれば
この母のように、夫に愛され、子に愛され
とんちんかんをとんちんかんのままに、幸福として
生きる事はできるのだろうな、と思う。



最初は、某かの力によって与えられ、
そしてある時期からは、自らの意志によって選び取ってきた
凡百にして凡庸な、これまでの人生。

みうらじゅんは、アイデン&ティティの中で
痛いまでにうまいことかいていたが

今からこの四半世紀超の時間を巻き戻して
波瀾万丈をやり直す、という訳にもいかないのだ。


凡庸は凡庸を旨として、凡庸をひたすらに積み重ねよう。



お母さん、可愛いメモと変なバッグをありがとう。
どうせ使わないから友達にあげちゃったけど
気持ちはなんとなく嬉しかったです。

サルトルとニーチェ、ボードレールに谷崎は
こっちで何とかするよ。



さてさて、当分ひたすら、なんでもいいから描いてみることにします。

ハイ

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